祥雲
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材 木 編 (祥雲の場合)

 「祥雲」では、より良い材を求めて自分たちで山を回ります。それは自分たちの目で木の性格を直接確認した物だけを選ぶためです。木材は同じ種類の木でも育った環境で、まったく性格が異なります。目的に応じた材料を選ぶことは、長年の経験と蓄積したノウハウがものをいうとても難しい仕事です。(東京営林局の入札を取得しているので直接国有林の入札にも参加しています。)

 木材の選択で気をつけることは、なるべく山の北斜面や、日陰で苦労して少しずつ大きくなった木を選ぶことです。力神(りきじん)手長足長(てなが・あしなが)などの彫刻を板目(いため)に彫ると木の目が細かければ細かいほど筋肉のふくらみに細かな輪がいくつも重なり力強いものに仕上がります。でもそういう木目で、大きなものが取り出せる木材は最近は、めったにお目にかかれません。それでも材料は可能な限り目の積んだものを捜し求めてあちこちしています。木材は生きています。切り倒され引き割られ乾燥され製品になっても呼吸し続けて、収縮を繰り返します。

 暖かな環境で育った木材は早く生育し木目の幅も広く、十分な乾燥をさせて部材に加工した場合でも大きく収縮し(板の動きが大きい)まわりの部材とに、隙間が出たり、押し合って影響しあったりします。逆に日陰で苦労して育った木材は、木目の幅も狭く、収縮差も小さく一年を通して(四季を通して)製品への影響も小さくすむのです。

 木材の管理で一番重要なことは、乾燥です。時々「この材料は、だいぶ乾燥してるからまず大丈夫だと思うよ。」と言われる方がいますが、「だいぶ乾燥してる」程度では、まず不安です。本当に大丈夫かどうかは、彫ってみないと判りませんが、カラカラに乾燥させた材料でないと、ほとんどが途中で割れがはいります。昔、仕事場の環境と仕事の進め方、木材の扱い方が勉強不足で大切な材料が割れてしまったこともありましたが、木材の性格もありますが、木材は、とにかく乾燥が大事です。乾燥が不十分なものは、彫ってる途中で、割れやひねれが生じます。

 木材は丸太のまましばらく置いた後、目的に合わせた部材に引き割り、材料置き場に移します。そこで外回りの水分を飛ばすために、天日(てんぴ)で2〜3年ほどかけて、乾燥させます。(お日様の光で自然に干します、機械の強制乾燥ではありません。)
 その後、反り(そり)が生じてきますので、もう一度材料を引き直します。このとき、最初に厚さが7寸(21cm)あったものは5寸(15cm)位に減ってしまいます。5寸(15cm)あったものは、3寸(9cm)位になってしまいます。割れがはいったものは、泣く泣く細く引き直します。ここでの「引き直し」は、狂いの少ない木材にするためのとても重要な工程です。必要な厚みに多少の余裕を見て乾燥させるぐらいでは、まずだめです。体積がかなり減りますが、省いてはいけない重要な工程です。
 「引き直し」がすんだ材料はここで初めて材料倉庫に移され大切に保管されます。白太(しらた:丸太の外側の水を吸い上げるもろい部分)が腐り落ち、材料として製作できる状態になるには、平均で10年程時間をかけて管理しています。(よく新聞広告や商品カタログで、10年ぐらいの乾燥をしているように受け取れる文章を、時々見かけますが、本当に天日で10年かけて行っているところは、まず少ないと思います。とてもたいへんなことですから!)私たちは、正確には最初に7寸ひいた木材は7年以上かけて乾燥させています。5寸にひいたものは5年以上かけています。1尺にひいたものは10年ではとても乾燥しません。もっと、時間がかかります。とにかく、木材の乾燥はとても大切なことで、充分以上に時間をかけても安心はできないものなんです。

 


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