暖かな環境で育った木材は早く生育し木目の幅も広く、十分な乾燥をさせて部材に加工した場合でも大きく収縮し(板の動きが大きい)まわりの部材とに、隙間が出たり、押し合って影響しあったりします。逆に日陰で苦労して育った木材は、木目の幅も狭く、収縮差も小さく一年を通して(四季を通して)製品への影響も小さくすむのです。
木材の管理で一番重要なことは、乾燥です。時々「この材料は、だいぶ乾燥してるからまず大丈夫だと思うよ。」と言われる方がいますが、「だいぶ乾燥してる」程度では、まず不安です。本当に大丈夫かどうかは、彫ってみないと判りませんが、カラカラに乾燥させた材料でないと、ほとんどが途中で割れがはいります。昔、仕事場の環境と仕事の進め方、木材の扱い方が勉強不足で大切な材料が割れてしまったこともありましたが、木材の性格もありますが、木材は、とにかく乾燥が大事です。乾燥が不十分なものは、彫ってる途中で、割れやひねれが生じます。
木材は丸太のまましばらく置いた後、目的に合わせた部材に引き割り、材料置き場に移します。そこで外回りの水分を飛ばすために、天日(てんぴ)で2〜3年ほどかけて、乾燥させます。(お日様の光で自然に干します、機械の強制乾燥ではありません。)
その後、反り(そり)が生じてきますので、もう一度材料を引き直します。このとき、最初に厚さが7寸(21cm)あったものは5寸(15cm)位に減ってしまいます。5寸(15cm)あったものは、3寸(9cm)位になってしまいます。割れがはいったものは、泣く泣く細く引き直します。ここでの「引き直し」は、狂いの少ない木材にするためのとても重要な工程です。必要な厚みに多少の余裕を見て乾燥させるぐらいでは、まずだめです。体積がかなり減りますが、省いてはいけない重要な工程です。
「引き直し」がすんだ材料はここで初めて材料倉庫に移され大切に保管されます。白太(しらた:丸太の外側の水を吸い上げるもろい部分)が腐り落ち、材料として製作できる状態になるには、平均で10年程時間をかけて管理しています。(よく新聞広告や商品カタログで、10年ぐらいの乾燥をしているように受け取れる文章を、時々見かけますが、本当に天日で10年かけて行っているところは、まず少ないと思います。とてもたいへんなことですから!)私たちは、正確には最初に7寸ひいた木材は7年以上かけて乾燥させています。5寸にひいたものは5年以上かけています。1尺にひいたものは10年ではとても乾燥しません。もっと、時間がかかります。とにかく、木材の乾燥はとても大切なことで、充分以上に時間をかけても安心はできないものなんです。