祥雲
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製作過程編
祥雲のこだわり


製作過程編

 山車・神輿の彫刻題材は、最初に製作依頼者の方に好みのイメージ(願い)を伺いますが、最近は、事前に何の彫りを入れるのか皆さんでお話合いが済んでいる場合があります。インターネットなどで、気に入った彫刻の候補を選び出しその題材の意味合いを調べ、皆さんで検討し決定する。その辺まで来ると、かなりの時間をかけて勉強してますから、皆さんかなりのプロフェッショナルになっています。なかには学者なみの知識の方もいて、反対に教えていただくこともたびたびあります。{ノミの突き方や、納め方は、はっきりとしたものを持ってるつもりなんですが・・・}みなさんからは「町内に富をもたらす題材はないかい?」とか「長寿を願う意味合いの彫りがいいな!」「この彫刻が気に入ってるだけど、どんな意味合いがあるの?」「うちの神社の彫刻を真似てほしいけど、サイズがうまく収まるかな?」「なんでもいいから、まかせるよ。」など、いろんなお話をうかがいます。

 題材が決定すると、大工さんとの打ち合わせが始まります。構造材との絡みを考えて材料のおさまりを確認します。寸法の確認が済むか、それと並行して彫刻の構図を考えます。題材に登場する者達の目線や、体の動き、どんな大きさで見せるか、どの高さに何と一緒に目がうつるか、いろいろと考えながら構図を決定していきます。特に、一度彫ったことのある題材は、慎重になります。いろいろな資料を何冊も見直して何日もかけて考えるんですが、正直、昔の人の仕事はすばらしい!昔は、下絵の発想、バランス、表情すべてにおいて天才といえる彫刻師がいたんですね。

構図が固まってくると、少しずつ下絵に入ります。いつも気をつけていることは、

1. 離れて見たとき主な彫刻がわかるように、主なものは、大きく大胆な構図にする。
2. 近くで見たときに、気がつく繊細な部分を作る。
3. どのくらいの高さにどのくらいの角度で目に映るのかを考えて描く。
4. プロの方々に見られている・・・

 実際、構図からだいたいの下絵を考えるのに何ヶ月もかかります。でも、ここに時間をかけないと、気に入るものはできません。下絵はそのくらい大切なものです。人物だったら骨格を頭に入れて動きを考えます。描いていてどうもうまくいかないときは、肘が短かったり、腰のひねれが不足していたり、骨を考えてみると間違いに気づきます。それから、小さなものを、いっぱい描くときはいいのですが、大きく見せたいとき、材料の限られた厚みの中で、どれだけ立体に見せることができるのか?・・・たとえば、岩に腰掛けている人物の背中から膝の先までの距離が実際に三分の二しかないのに、ちゃんと腰を掛けているように見せなければいけない。要するに、薄い材料で厚く見せるように、下絵をかかなくちゃいけないんです。

 山車彫刻の制作は、すべて人の手で行います。(電気ドリルは穴あけに使いますが、あとはノミと槌だけです)人が刃物で突いたものは、機械彫りよりも味わいがあると思います。
 下絵の段階で、どの部分が手前に来て、どの部分が奥なのかを頭の中ではっきりさせます。木を削るというよりは、ノミを使って木の中から余計なものを払って、描いたものを取り出す。・・・といった感じの仕事になります。山車の場合、破損しにくく彫ることが大事ですが、彫りの裏や、背面をていねいに取ることによって、(正面からでは見えない部分に手をかけて立体に近く彫ること)斜め下から見てもきれいな線が出てきます。いろいろな角度から見て、確認します。

 好き嫌いは、見る人の好みがありますので、みんなに気に入られることはまず、ないと思います。仏像彫刻と同様に、出来上がった彫刻を目の前にしたとき、何か、伝わってくるものを感じられるような彫刻に仕上げたい。そんなふうにいつも考えています。でも実際のところ、彫りあがった彫刻が山車におさまってしばらくの間眺めていると、反省させられることの連続です。


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